「閉」
男は閉ボタンを押した。
女がこちらへ向かって来るように見えたが、気のせいだということにした。
箱は扉を閉じ、たった一人の客のためにゆっくりと稼働しだす。
男は、ふと思い返す。本当に気のせいにしてよかったのだろうか。さっさと閉じずに、一度様子を窺うべきだったのではなかろうか。
汗が首筋をめがけ一気に降下していく。室内はじりじりと暑く、この汗は焦燥や後悔によるものではないと自分に言い聞かせる。
箱はもう止められない。男のそういった感情を汗と共に置き去りにし、ゆっくりと、ゆっくりと、上層へ運んでいく。
暫くしたのち、遠くからささやかに聞こえていた女の悲痛な叫びは、ひとしきりの熱い空気と崩れた骨を残し、どこかへ運ばれてしまった。
ありがちな意味怖SSを作ってみたよ。お気に入りポイントはジョセフが本当の黒幕と対峙するシーンだよ。
うおおおお!!ゾッとした!!!おこめさんの本領発揮ですね!?小説家デビュー待ったなし!!
ワードセンスが光るよね、この言葉選びの奥ゆかしさというか、うんうんわかる
デビューしたらnaomiさんに帯のコメント頼むね