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  • 2025年10月の最新投稿

    運送業が値上げできず、荷主が簡単に値上げできる理由。

    2025年10月17日 New
    とら子独り言

     
    20251017
    先日、Xでとあるリプをいただきました。   運賃交渉を行うにあたり、それに応えられない荷主/元請けは原資がないのではないか。という内容のリプだったんですが   このリプをもらってふと思ったんですね。     いやいや、値上げなんて荷主さんたちは簡単にできるんじゃないの?って。 すぐ言うよね?「物流費の高騰で値上げ~」って。   運送会社が荷主さんや元請けさんに「運賃を上げたい」と伝える時って   どれだけ丁寧に説明しても「他社はこれでやってくれてる」「御社でももう少しコスト削減できない?」とかね言われるわけですよ。   その一方で、荷主さんが自社製品を消費者に向けて値上げをするときって   「現在業や物流コストの上昇のため」ってプレスリリース1枚ぺろーん、で社会に受け入れられる。     同じ値上げでも難易度が各段に違うんじゃないの?って思ったんです。     だから原資がない状況、っていうのはどう考えても疑問だったんですね。     ただ、これはあくまでも私の視点からでしか見えないやし考えられないこと。     だからちょっと深掘りして調べてみました。    

    運送業⇒荷主への交渉=「正論が通らない世界」

      燃料が上がっている、最低賃金も上がっている、車両費なんかとんでもなく上がっている。   法改正で拘束時間も厳しく管理されて昔のように1人のドライバーが何本も走ることができなくなる。     こういう「THE正論」を数字と並べれば値上げの理由なんて山ほど出てきます。     でも実際この正論と数字を持って行ったとき、こういわれます。   「他からは値上げ言われてないんですよね」   「うちも厳しいんですよ」   「人件費削ったりできないんですか?」     これは私が実際に交渉の場で言われてきた言葉です。       運送業⇒荷主の交渉は     【理屈】ではなく【関係】で動いています。     運送業が運賃交渉に全力で踏み切れない理由も【関係】が大きく関係しています。     値上げを申し出る=【関係】を壊すリスク     だから多くの運送会社は荷主や元請けからネガティブな発言、ワードにはものすごく敏感です。     「あ、、なら次の更新の時にでも。。。」とか「決算終わったら。。。」と先送りにしてしまう風潮がある。     交渉と言っても実際はお願い、なんですよね。     お願いベースだから遠慮が生じる。     この構造が変わらない限り「正当な運賃値上げ」は永遠の課題であり、運送業の値上げ交渉が進まないのです。    

    荷主⇒消費者=「一方的に言える世界」

      一方で荷主が製品やサービスを消費者に売る現場において   値上げは「交渉」ではなく「告知」です。     「原材料費や物流費の高騰により価格を改定いたします」 この一文で完結です。 毎年4月や10月に「さ!また値上げの季節がやってきました」とワイドショーとかでスーパーが映し出される時に決まって言われる常套句です。     もちろん、競合他社との競争環境はあるし自社だけ値上げするのは気がひける・・・   という思惑はあるでしょうがここ数年、これが当たり前みたいになっています。   つまり、交渉相手である消費者は「取引先」ではないんですよね。     嫌なら買わない、納得すれば買う。   常に対等な構造の中で成り立っているからこそ告知で済むんだと思います。     運送会社のように一社一社説得する必要はない。   数十社分の交渉をプレスリリース1枚で終わらせられる。   これはものすごく大きな差だと感じるんです。     ただ、荷主側にもハードルというか心理的な負荷はもちろんあって、   ①消費者離れによる売り上げ減少への恐怖   ②メディア対応や株主への説明責任     など、実務的には容易だけど社会的に繊細であるという一面がある、ということがわかります。    

    難易度の「質」が違う

      簡単にまとめるとこうなります。     ごめん、めっちゃ見にくいwwwww   字もきたねえなw   私は運送業の立場だから運送業から見た交渉しか見えていなかったけど、   荷主の立場から見たら運送業とはまた違った視点で交渉が見えてくる。   難しさの本質がそもそも違う、ということがわかりました。    

    本当に難しいのは「〇〇」

      運送業⇒荷主、荷主⇒消費者。   どちらにとっても値上げは大変なこと。   だけど、運送業側の難しさは     「社会的に正しい事でも取引先には言い出せない」という構造     にあると思っています。     荷主側は対消費者に対してその構造をできる限り排除してきたんですね。     どういうことかというと、     社会に向けて「理解される物語」を作る力を持っていてその力をいかんなく発揮している、ということ。     つまり、「値上げをします」と声を上げた時点で     その声が間違っていないという理解をしてもらえるということなんです。     その力というのは世間への周知です。     メーカーはテレビコマーシャルや新聞広告、ラジオ広告、SNS広告などありとあらゆる手段を的確に使って消費者へ周知することを怠っていません。     では運送業はどうか。   運送業は【関係】をリスクだととらえつつも     それに甘え、周知を怠り、「困ったときはお互い様」精神で困った時に助けられることだけを武器としてきた。     だから声を上げた時に「理解してもらう力」が弱い。     だから担当者が変われば取引額や取引量が変わることが多々ある。     本当に難しいのは「声を上げた時に理解してもらえる力を持つこと」だと私は調べて気が付きました。    

    まとめ

      運送業が正当に値上げを通せるようになるためには   コスト計算はもちろん大事。   そしてそれ以上に「社会的同意の形成=声を理解してもらうこと」を業界して進めていくことが必要です。     荷主が「物流費高騰」を理由に価格を上げるなら、     その背景にいる運送会社にもしっかり対価を届く仕組みを作るべきなんです。     今までは一方的に「荷主のほうが力が強いから」とか「優越性があるから」とか拗ねてましたが     本当の難しさは「立場の強さ」ではなくて   声を上げた時に誰が耳を傾けてくれるか。   声を上げた時に理解してもらえるか。   で決まるということを今回学ぶことができました。     私はSNSで発信していますがもっともっと沢山の方が運送業の声を拾ってもらえるような動きを業界全体がやっていく必要があるなと思います。    
     
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