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    経団連の意見書を読み解く──物流規制は強化か、それとも骨抜きか

    2026年4月22日 New

     
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    現在、公正取引委員会が進めている「物流特殊指定」の改正案に対し、経団連が意見書を提出しました。

    Xでも話題になっているこの件。   この意見は一見すると「取引適正化に賛成」という立場を取りながら、   実務レベルでは規制の影響を抑えようとする内容になっています。   では、その中身は現場にとって何を意味するのか。   運送事業者の視点から整理していきます。  

    ■ 表向きは「賛成」、しかし本音は“慎重運用”

      経団連の基本スタンスは明確です。   〇取適法は評価する 〇規制強化の方向性も理解する   しかし同時に、   ・実務への影響には十分配慮すべき   ・文言や解釈を明確にすべき   と繰り返しています。   これは裏を返せば、   👉 「強い規制がそのまま適用されることには強い警戒感がある」   ということです。  

    ■ 最大の争点:「荷待ち」をどう扱うか

      今回の意見で最も重要なのがここです。   経団連は、荷待ちについてこう主張しています。   ・荷待ちは複数の主体が関与する   ・特定の事業者の責任とは言えない   ・よって規制対象とすべきではない   一見もっともらしく見えます。   しかし、現場感覚ではどうでしょうか。   実際の荷待ちは、   ・着荷主の受け入れ体制   ・荷主側の段取り   ・倉庫の運用   といった要因によって発生するケースが大半です。   にもかかわらず「責任が分散している」という理由で規制対象から外されれば、   👉 誰も責任を取らない構造が固定化される   可能性があります。   Xでも散々言っていますが、   今回の経団連のやり方は「後出しじゃんけん」にしか見えません。   今まで無償待機、無償荷役で恩恵を受けてきた対価は支払わず、「責任が分散している」という難癖をつけて実務レベルでこれからも変わらない無償サービスを提供しろ、と言っているようなものです。   前述したように、荷待ちの要因のほとんどが「荷主」側の要因です。   そして、その要因は荷主側でコントロールができる範疇にあります。   CLOの設置も始まり、責任所在の明確化がスタートしている背景を鑑みた時、   荷主側のコントロール不足を「複数主体の関与」という言葉で片付けないでいただきたい。   今までこの責任の不所在に運送業がどれだけ苦しめられてきたか。   今、この時点でしっかり是正すべきなのは「荷主」側。   つまり、経団連側の人達です。  

    ■ 「資料を出せ」は本当にフェアな交渉か

      もう一つ重要なのが、運賃交渉に関する部分です。   経団連は、   ・荷主がコスト増の根拠資料を求めることは → 違反ではないと明確にすべき   と主張しています。   確かに、交渉としては自然です。   しかし現場では、   「その根拠では不十分」   「合理性がない」   「だから据え置き」   という形で、   👉 値上げを実質的に止める手段として使われる   ケースが多いのも事実です。   形式的には対等な協議でも、実態はそうなっていない。   ここにも構造的な問題があります。  

    ■ 付帯作業の“グレーゾーン”は残される

      意見書では、荷役などの付帯作業についても言及されています。   ①緊急時は例外にすべき   ②契約上想定されている場合は問題ない   ③個別判断の余地を残すべき   これらは一見合理的に見えるかもしれません。   しかし現場では、   「これくらいはやってくれるよね」   「他はやってるよ」   という圧力が日常的に存在します。   この状態で例外を広げると、   👉 無償作業が“慣行として維持される”   可能性が高い。   そもそも③の個人判断の余地、というのが曲者。   担当者レベルで判断基準をコロコロ変えられた結果、今の状況を生んだという認識をまるで持っていない。   現場を見ていない証拠です。  

    ■ 責任の所在が曖昧なままでは何も変わらない

      今回の意見書を通して一貫しているのは、   ・誰の責任かを慎重に判断すべき   ・一律に規制すべきではない   という考え方です。   しかし物流現場の問題はまさにここにあります。   👉 責任が曖昧だから改善されてこなかった   これをそのまま残すと、   ・今までと同じ実務は違反にならない   ・そして現場は変わらない   という状態が続くことになります。  

    ■ 支払条件の緩和が意味するもの

    支払条件についても、   ・60日ルールの柔軟運用   ・月締めや請求書基準の容認   ・年間一括払いの可否   など、多くの確認事項が提示されています。   これは裏を返せば、   👉 支払いを遅らせる余地を残したい という意図にも見えます。   運送事業者にとっては、   ・資金繰りの悪化   ・実質的な負担の先送り   に直結する大変重要な点でもあります。   支払い条件の緩和は企業の生命線にとって大きな影響を及ぼす可能性があります。   この負の可能性を出来る限り排除することこそ、「物流特殊指定改正」の目的の一つであると私は信じています。  

    ■ この意見書の本質

    この意見書を一言で表すなら、   👉 「規制の趣旨には賛成だが、実務は変えたくない」 というメッセージです。   そしてその結果として懸念されるのは、   ①荷待ちは解決されない   ②無償作業も残る   ③運賃交渉の力関係も変わらない   という現状の延長です。   現状の延長は   物流の「終わりの始まりを加速」させる行為だと思っています。   ブレーキ役である法律、改正法などが出来上がっていくに伴い、内容を骨抜きにするのは   将来の物流への投資の停止、つまり、   将来の国内物流への軽視でしかありません。  

    ■ 最後に

      今回の制度改正は、本来であれば   👉 物流の歪みを是正する大きなチャンス のはずです。   しかし、 ・解釈の曖昧さ   ・例外の拡大   ・責任の分散   が重なれば、その効果は大きく薄れます。   制度が変わっても現場が変わらない。   そんな事態を防ぐために、今まさに議論の質が問われています。   今まで運送業はこのような事態を把握できず、置いてけぼりでした。   しかし、今はSNSやインターネットによる情報開示、情報発信で大きく環境が変わっています。   日本の物流を軽視し、自分たちの都合さえよければいいというような行為には現場からも声をあげていく必要があると私は思っています。   この状況の現状を維持する、ということは   すなわち、   自分たちの首を絞めていくことでもあります。   運送業だから、力がないから、   という問題ではありません。   運送業、物流が回らなくなれば経済も回らなくなる。   基本中の基本さえも忘れているような気がしてならないのです。   日本の経済団体の連合会であればその基本を忘れず、物流が経済に対してどれだけの影響を持っているのか改めて考えていただきたい所存です。   そして、最後に。   今回の論点は   ・誰が悪いか   ではなく   ・誰がコントロールをするかによる責任の所在を定義する問題   です。   論点をずらさず、議論を続けていただきたいと思います。
     
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