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    【保存版】取適法の“適用される/されない”を現場ケースでわかりやすく解説

    2025年11月21日 New

     
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    先日のブログでも何回か出てきた、新しい法律「中小受託取引適正化法」。   この法律は元・下請法。   下請法と聞いた方がなじみがあると思いますが2026年1月1日からは下請法は無くなり、   「中小受託取引適正化法(取適法)」となります。     この法律は   委託事業者(発注者)の取引の適正化を強化し、受託事業者(受注者)の利益保護をより厚くするための法律です。   そして、2026年1月1日に施行される取適法に   やっと運送取引が規制対象となりました。   規制対象となる運送取引は「特定運送委託」と呼ばれます。   特定運送委託とは、製造・販売等の目的物(荷物)の引き渡しに必要な運送の委託を指します。     委託事業者が ・資本金3億円超 ・資本金1千万円超3億円以下 ・常時使用する従業員300人超   のいずれかに該当し、     受託事業者が ・資本金3億円以下(個人を含む) ・資本金1千万円以下(個人を含む) ・常時使用する従業員300人以下   のいずれかに該当する場合に規制対象となります。  

    運送業と取適法

      運送や物流の現場では施行後、   「この待機は誰の責任?」   「取適法ってどこまで適用されるん?」   という疑問がとても多くなることが予想されます。     そこでこの記事では取適法の中の「特定運送委託」が   ①どのパターンで適用されるのか   ②逆に適用されないのはどんなケースか   を実際の現場トラブルをもとにわかりやすく整理しました。    

    中小受託取引適正化法とは?

      前述もしましたが、この法律は   大企業→中小運送会社への不当な押し付けを防ぐための法律です。     特に以下の場合を規制します。   ・不当に低い運賃の押し付け   ・支払い遅延、未払い   ・長時間待機の常態化   ・無償作業の強制   ・通告した運送会社への報復行為(出禁など)   つまり、   【立場の弱い中小運送会社を守るための法律】という位置づけです    

    【適用される】パターン

      それではまず、適用されるパターンからまとめていきます。  

    ①大手路線会社→中小運送会社

    (例) 大手路線会社A(委託)→中小運送会社B(受託) Aの自社センターCへBが集荷、荷下ろしへ行ったがCでBが長時間待機を強いられた。 後日、Aに対して待機料を請求したが認められなかった。 Bはこの件を都道府県運輸局に相談したが、それを知ったAはBに対してCへ出禁措置を行った。   (ポイント) ・Cで長時間待機   ・待機料を請求したが却下   ・待機料却下を進言、行政へ通告したら出禁になるなどの報復措置を取られた   →大手路線会社Aが規制対象となる    

    ②大手荷主→中小運送会社(元請)

      (例) 荷主A(委託)→中小運送会社B(受託) Aの出荷センターC(Aの自社センター)へBが納品に行ったが、Cのベルコンが故障して積み込みに長時間待機が発生した。その際、対価の支払いがない検品作業を指示された。   ・Cでの混雑・設備故障等で待機が発生   ・センターでは無償で付帯作業(センターパレットへの積み付け・検品等)の強制   →出荷センターCを管理する荷主Aが取適法の対象となる   荷主Aは   ・待機料の支払い ・無償作業の中止 ・センター管理体制の改善   を行うよう指導されることになります。        

    ③親運送会社→下請け運送会社

      (例) 親運送会社A(委託)→下請け運送会社B(受託) AはBに対して短時間での走行を強制し、積み・おろしの現場で無償作業を指示した。   →荷主が絡まなくても親運送会社Aは取適法の規制対象となる。    

    【適用されない会社がある】パターン

     

    ①荷主→倉庫業(保管業務委託)→運送会社

      (例) 荷主Aは港湾倉庫Bからの荷物を運送会社Cに集荷するよう依頼した。 港湾倉庫Bでは荷積みでの長時間待機が発生し、24時を回っても荷物の出荷ができないと言われた。 翌日に改めて集荷をするようにAはCに依頼をしたが追加の運賃を支払わなかった。   →取適法が適用されるのは荷主A→運送会社Cの関係のみ   港湾倉庫Bには取適法は適用されません。   Bの行為によって発生した損害や追加のコストは荷主Aが負担すべき、という構造になります。  

    ▼解説

      【取適法が適用されない理由】   1.Bは「運送委託の受託者」ではなく「保管・出荷作業」の委託先   2.取適法は「運送を受託した事業者」にしか適用されない   ため。   つまり、Bが運送会社Cに対して待機を生じさせても、取適法では規制できない、ということになります。     【取適法がが適用される部分】   適用されるのは「荷主A→運送会社C」の関係のみ   荷主Aは運送会社Cに運送を委託しているため、   ・追加運賃の未払い ・無償の再集荷の強制 ・待機料の未払い   は、A→Cの間で取適法の禁止行為に該当する可能性が非常に高いです。     ■港湾倉庫Bは罰せられないのか?   取適法では罰せられません。(運送を委託していないから)   つまり、荷主Aは運送委託をした時点で現場でのトラブルに対して全責任を負う義務が課せられるようになります。    

    ②着地での受領拒否

      (例) 発荷主Aは運送会社Bに集荷した荷物を着荷主Cの元へ納品するように委託した。 発荷主Aから出火した荷物をBが着荷主Cの倉庫Dへ納品に行ったところ、倉庫内設備の故障のため、受け取りができず持ち帰ってくれと言われた。   →着荷主C、倉庫Dは対象外。取適法の対象は荷主Aのみ    

    ▼解説

      着荷主Cは「運送委託者ではない」ため、対象になりません。     倉庫業は「特定運送委託」に含まれないため、倉庫Dも対象にはなりません。     なので、   着荷主Cが受け取り拒否をした場合、取適法の「受領拒否」に該当しますが規制対象となるのは発荷主のAだけになります。     発荷主Aが委託した「取引条件としての荷受け場所の不備」「設備故障による荷受け拒否」が結果として運送会社Bに不当な負担をかけることになるため、   規制対象となる発荷主Aに対して運送会社Bは   ・待機料(持ち戻り料) ・再配送料 ・その他実費   を請求することができます。  

    まとめ:現場で使える「判断基準」

    ★取適法が適用されるかどうかを見分けるポイント   ①委託したのは誰?(荷主・路線会社・親運送会社) ②委託されたのは運送会社か? ③トラブルが発生した場所はその委託者の指揮下にあるか?   この3つを確認してみてください。     ★違反があった場合の公取委への通報方法   公正取引委員会への通報の主な方法は4つあります。   ①WEBフォーム 公取委の「情報提供フォーム」からオンラインで通報できます。 ・匿名OK ・連絡先記入も任意 ・添付資料ありでもOK ・取適法、独禁法どちらでもここから通報可     ②メール 全国の公取委事務所にメールしても受付されます。 ただし、優先順位はWEBフォームのほうが高いと言われています。     ③電話相談(一時相談として有効) 各地の公正取引委員会の「相談窓口」があり、独禁法・下請法・取適法全てここで相談可能となっています。     ④各地の公取委事務所に直接訪問 もっとも形式的で確実。 直接対面で説明ができますが、職員の方は通常業務を行っているのであらかじめ予約をされるといいかと思います。     2025年以降、本当に沢山の法律が改正されたり作られてたりしています。     取適法は公正取引委員会管轄で運送取引そのものにしっかりアプローチしてくれる法律なのでぜひ覚えておいてほしいなと思います。     私もまだまだわからないところもあると思いますが来週は経産省の方とお話できるようなので色々質問してみようと思います!     このパターンも気になる!というものがあればぜひコメントで教えてください。     それでは今日も寒いので皆様暖かくしてお過ごしくださいねー!   ご安全にです!
     
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