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  • 2024年7月の最新投稿

    2024年問題の最大の敵の正体

    2024年7月25日

     
    bururu8

    2024年問題の最大の敵とは

        2024年問題に対する世間の関心が薄くなってきたであろうこの夏。     私は勘違いしていたことに気づきました。     2024年問題とは「運送業とそこの関わる人たちで何とか解決できる」問題だと思っていましたが、これが全くの的外れだったということです。     そもそも論、なんですがそもそも、2024年問題って労働時間を短縮しましょう!というのが主な課題でしたよね。 その課題に対して積載率やトラックの回転率を上げて今までと変わらない輸送量を確保ましょう、というのが一般に広く知られた2024年問題です。     そして、この労働時間短縮には運送業だけでは解決できない事案が沢山含まれているので関わる荷主さんたちに協力をお願いしていこう!というのが運送業の認識でした。       それが大きく的外れだった、と理解したのが昨日。 そしてその原因は何かを深掘りすると2024年問題の真の敵であり最大の敵が見えてきました。     それが「日本型流通取引における商取引慣行」です。     「サンド富澤」タグのついたボケ       うん。ちょっと何言ってるかわからないので詳細に述べていきます。    

    日本型流通取引における商取引慣行とは?

      実は、日本の流通取引において取引は「契約」ではなく「慣行」によって成立しています。 そう。流通取引において日本は契約ではなく「昔からこうしてたから今もこれでいいよね」という慣行がまかり通っているのです。(なのに運送業には契約書面化しろ、とかいう矛盾。マジでええ加減にせえよ)     この時点でよろしくないニオイがプンプンするんですが、じゃ商取引慣行ってどういうものがあるのか。 詳しく見ていきましょう。  

    ①店着価格制

    店着価格取引とは 【商品価格と物流関連費用が混然一体となって,店舗への納品価格とされる価格決定方式である】です。(『わが国商慣習の「店着価格制」の改善に関する一考察』田口尚志 早稲田大学より抜粋)     どういうことか、というと 商社は「仕入れ値+物流費」を小売り業への納品価格として卸していく。ということです。       害悪なのがこの納品価格の中の物流費は、燃料や人件費高騰などの外的要因の影響を受けないこと。 つまり、最初に取り決めをしてしまった物流費はビジネスがスタートしてしまうと変動することのない取り決めになってしまっているのです。   そしてこれは契約ではありません。 つまり、更新もないことになります。     通常、契約としてビジネスモデルを確立すれば都度「契約更新」が入ります。 ですが現状の商取引は「慣行」のため更新するタイミングはありません。見直しをせずにどんどん続いてしまっているのです。     また、この店着価格制では 積地の荷主から対価をもらっているのに、卸先の荷主が配達先での具体的な作業を指示を出す実務になっているという点にも特徴があります。     現在の店着価格制は 積地の荷主がどんなレベルの物流業務を提供しても、卸先の荷主企業が支払う代金は変わらないので、卸先の荷主はできるだけ高いレベルの物流業務を求めようとするのです。(そりゃそうだ)     だから、卸先でのドライバーによる検品、ピッキング、倉庫内の棚までの納品、という付帯作業が無くならない。     私たち運送会社は「付帯作業には見合った対価を!」と言い続けていますが、積み地の荷主はおろし地の荷主に対して慣行通りの金額しかもらえないので結局運送会社が消化しなければいけない状態が続いています。     結局、積み地の荷主が卸地の荷主よりも力関係が弱いので物流費を上げた店着価格で交渉すれば「仕入れ値を下げろ」と言われるのがオチ、という結果になり物流費が適正に交渉の場に上がるということがないのが現実です。    

    ②物流センター通貨金額フィー方式

    これの慣行の1つとされています。 どういうものか、というと 物流センターが商品の入出庫手配や在庫管理、配送手続きなどの業務を行った場合に発生するコストであるセンター・フィーを物流センターを通過する商品代金に設定料率をかけて算出する方法です。     センターフィーについては色々と不明確な所が多くて、 多頻度小口配送などの物流特性やや多品種少量発注などの受発注特性を考慮しないどんぶり勘定、と言われていたり、 物流センターフィー=商品代金×設定料率の料率が小売業者側から一方的に決められるなどの不透明さが残っています。     つまり、実際に支払いをするのは出荷側のメーカーや卸売業なのに、支払う金額を決めているのは小売業という何ともよくわからない算出方法になっているのです。     また、支払い側が小売業側に料率の算定基準の根拠を教えてくれ、と言っても小売業側は教えてくれません。というか、小売業側もどのようにセンターフィーを算出したかわからない場合が多々あるためです。     とてもどんぶり。っていうかザル。どうやって算出したかわからないってだいじょぶそ?レベルです。甘すぎ。    

    ③毎日発注翌日納品

      これは加工食品流通における慣行として広く周知されているかと思いますが、毎日発注翌日納品というのも商取引慣行になっています。     毎日発注、翌日納品で毎回同じロットだけ荷物が出荷されればいいですが、毎日同じものばかりが注文されるわけではないため     基本的に「多品種少量発注」となり、「多頻度小口ロット」が常態化します。     多品種多頻度小ロット、となるとパレタイズしようぜという動きにも相反します。 どういうことかというと     毎日多品種少量発注となるとパレットには一階層しか商品が積まれていないミルフィーユパレット状態になり、1枚のパレットに品目の違う商品が何層も出来上がるという状態になります。     つまり、パレタイズしようと動いたところで納品先の物流センターではパレット1枚に乗っている商品をばらさなければならず、品目別、賞味期限別など細かい単位で検品・ピッキングが必要となり、逆にパレタイズなんかせんほうがマシやという結論になります。     サプライチェーンマネジメント(SCM)もええけど、まず根本のビジネスモデルから見直しなはれと思わずにはいられません。     現在も多品種少量発注・多頻度小ロットでの納品が荷下ろし先の物流センターのインフラを凌駕している場合があり、物流センターのインフラが正常に機能しない、つまりピッキングや検品、入出庫に時間がかかりトラックの待機時間がべらぼうに長くなる、労働時間なんて全然守れません、となるのです。    

    商取引慣行の見直しだけが持続可能な物流を作れる

      商取引慣行にはじまる、言語化できない日本の商習慣の諸々は高度経済成長期からバブルくらいまでは適応していたのだと思います。     右肩上がりの経済の中では「次で返すから!」と言われたら本当にちゃんと次があった。     でも、今は荷動きすら鈍くなっているし経済の状況もそのころと比べてよくない。 失われた30年と言われる成長期がなかった分を補填しなければいけないのに根本が「経済の良かったころ」と変わっていないのであれば上塗りしたって成果が出ないのは当たり前です。       根本から変えることが2024年問題への対策そしてこれから先もずっと続けていけるような運送業、製造業、小売業へ続くと思うのです。     では根本から変えるために何が必要か。 まずはルールの明確化が必要。 どんなルールで商取引を行うか。でもそのルールを決める時には必ず3者(出荷人、運送業、受取人)が集まって話し合いをする必要があると考えます。     公的なルールを決める前にまず自分たちが作り上げてきたものをどうすれば今のカタチに適合させるかは3者それぞれの現場じゃないとわかりません。どこか一方だけが話し合いをして提言をまとめても「ちょっとまてぃ!」ってなる(実際なったw)ので公的な場所を作ってもらって話し合うというところからスタートしないと前に進まないと思っています。       運送業の中でどうしたらいいか色々考えていたけど、私たちが働く環境の土台が「慣行」という明文化できない状態だから運送業の中でもがいてもそりゃ前に進めんわ、と理解できて私としてはできる事は何かをもう1度探すことになりそうです。     でもそれでもいいと思えるし頑張ろうと思える。 自動運転も自動物流道路もいいけど運送業の良さというのはずっと残こしていきたいと思うし商取引を見直すことでできることもきっと増えていくと思うからできることを考えていきます。      
     
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