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    『人知れず社会を支えている』では限界。前時代的な使命感が、現代の運送業を殺す理由

    2026年9月28日

     
    20260928
    ※本記事は『物流ウィークリー』の読者投稿記事をもとに、加筆・編集したものです。   8月の大雨被害。被災地への配送に自発的に向かった運送会社とドライバーの話を聞きました、という記事。   荷主から「お願いします」と言われたわけじゃない。   むしろ、「自分がやらなくては」という使命感で、危険な道を走った。そんな経営者やドライバーが何人もいる。   でも、その後はどうなったか?   荷主企業からの待遇改善もなければ、アフターフォローもない。そういう話ばかり聞こえてくるんですよね。   という内容の記事でした。   この記事を読んでブログを書きました。  

    「お人好し」「口下手」が損をする業界の構造

      運送業界って、本当に不思議な業界なんですよね。   緊急時であっても、荷主と交渉する行為そのものが「悪手」だと思っている経営者がいまだに多い。   なぜか?それって、立場の弱さからくる「言えない文化」じゃないか、というのが私の持論です。  
    • 無理な配送を断れない
     
    • 追加費用を請求しづらい
     
    • 被害を受けても「しょうがない」で終わらせてしまう
      社会を支えるために動いているのに、その報酬や感謝が返ってこない。   これって、本当におかしい。  

    「自分がやらなくては」という使命感が、実は搾取を招いている

      今回、大雨の中、自発的に配送に向かったドライバーさんたち。   その背景にあるのは、責任感です。   でも、ちょっと冷静になって考えてみてください。   緊急時だからこそ、その対応には相応の対価が必要です。   燃料代、給与、車両リスク——通常時以上のコストが発生したとしても全部自分たちで被ってる。マジでおかしい。   ですが、今の時代、自己犠牲を伴ったり、「俺は行けるから行く」とかいう自己判断は企業生命に直接かかわってくる場合も多いです。   ただ、これは「お人好し」じゃなくて、「言える仕組みがない」からそうなってるんですよね。    

    前時代的な「使命感」では、令和は生き残れない

      かつては、こういう「社会貢献」「業界を支える」という美学が、運送業界を支えていた時代がありました。   でも、今は違う。   大事な事なんでもう1回言いますね。   今は違う!   その善意を「当然の無償サービス」にしてはいけない。   そう。   少なくとも、事業として行う運送を「適正な対価をもらわずしてやりきる」ではダメなんです。   「俺は行ける」「自分なら大丈夫」「プロやから積んだら下ろすのが当たり前」   この価値観はかっこいいしトラックドライバーの矜持でもある。   でも、今の時代これをやっちゃうと後世のドライバーが育たない。   マジで。   10年後、50年後の後輩のためにも今、私たち世代が断らないといけない案件っていうのが令和はもう存在してる。   2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、改善基準告示も変わった。   そして、今後は許可の更新制も導入されます。   ドライバー不足も深刻。   その中で、「使命感で無理をする」という前時代的な価値観では、会社も人も潰れてしまうんです。   緊急対応は大事です。   でも、それが「当然」「タダ」「感謝なし」という前提では、もう成り立たない時代に突入している。   荷主企業も、この現実をそろそろ認識する必要があります。  

    なぜ運送業は「口下手」になってしまうのか

      正当な交渉ができない理由って、簡単です。   運送会社が少しでも「運行が難しい」と言おうもんなら、荷主は別の運送会社に乗り換える。   業界内の競争が激しすぎるんです。   正直者が馬鹿を見るが当たり前に横行してる。   安さやコンプライアンス度外視を武器にした運送会社が運賃を武器に笑顔で裏切る。   こんなことはごまんとある業界なんですよね。クソが。   だから、経営者もドライバーも「言わない」「我慢する」という選択肢を選んでしまう。   その結果、荷主は「運送業はいつでも対応してくれる」という間違った認識を持つようになるんですよ。   これが業界の成長を止めている負のスパイラルの正体です。   なんとかして今、断ち切らないといけない。  

    運送事業者が声を挙げやすくなる具体的な仕組みとは

      では、どうすれば「言える業界」に変わるのか。   これには具体的かつ政策的な仕組みが必要です。  
    • 標準的な運賃告示の業種別・地域別の細分化——運賃交渉の「拠り所」を明確にする
     
    • トラック・物流Gメンの強化と権限拡大——不当な待遇や追加負担を強制する荷主を指導・処分
     
    • 2025年に成立した貨物自動車運送事業法等の改正による「適正な運賃・料金の収受」や「実運送体制管理簿」などの制度
     
    • 運送事業者団体の機能強化——業荷主と交渉する組織的な体制作り
     
    • 安全上の理由で運行を見合わせた事業者が、取引上の不利益を受けにくい仕組み
        これらが揃って初めて、「言いやすい業界」「交渉できる立場」が生まれるんじゃないでしょうか。  

    「人知れず社会を支えている」では、もう限界。

      千葉県の運送会社さんがおっしゃった言葉が、本当に胸に響きます。   「人知れず社会を支えている人が報われる業界になってほしい」   これは単なる願いじゃなくて、業界全体への警告だと思うんです。  
    • 緊急対応には緊急対応費をもらう
     
    • 無理な配送は「無理です」と言う
     
    • 荷主と対等に交渉する
     
    • ドライバーの安全と待遇を最優先にする
      これらって、当たり前のこと。   なのに、運送業界ではなぜか「そんなこと言えない」という雰囲気がある。  

    制度が整っても、最後に「お願いします」と言われたとき、運送会社自身が「この条件ではできません」と言えなければ、何も変わりません。

    制度は、声を上げる人がいて初めて機能する。

    だから私は、運送会社自身が変わる必要があると思っています。

     

    変わるのは、今。運送会社からです。

      荷主が変わるのを待つだけでは、10年待っても100年待っても変わりません。   変わるのは、運送会社が「これ以上、我慢できません」と声を上げるしかないんです。   一社が声を上げると、次の会社も上げやすくなる。   そういう業界風土を作ることが、本当の意味で「報われる業界」につながるんじゃないかと思っています。   使命感は大事です。   でも、その使命感の上にあぐらをかいてる荷主に、そろそろ「適正対価」の価値を教える時期が来てるんです。(もう1億回くらい言うてるけどな)   前時代的な「やればできる」は、令和では「無理は無理」に変わっていいんですよ。   むしろ、それが業界を守ることなんです。  

    「無理です」と言えることは、仕事を投げ出すことじゃない。


    会社を守り、ドライバーを守り、10年後、50年後の物流を守ることです。

    断ることを正義にすべき局面を見極めて、これから先も続いていける運送業に、皆で変えていきたいと思っています。

     
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