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配車女子 とら子の「一配一会」物流は裏方ではない――「運ぶ」がなければ成長は完成しない
2025年12月31日 New
12月23日、自民党政調会長の小林議員による「経済政策」についてのオンライン講義を拝聴しました。
講義の中で語られたキーワードは非常に明快でした。
・自民党のあり方は「オープン」と「スピード」
・日本の成長投資の柱は
①科学技術
②製造(ものづくり)
・さらに国内AIへの投資
・教育への重点投資
いずれも、日本の将来を考える上で欠かせない視点だと思います。
成長投資の共通点は「実体がある」こと
経済成長への投資の話を聞いて、一つ強く感じたことがあります。
挙げられた経済投資分野は、全て実体のある産業、つまり、成果物がある産業だということです。
・科学技術も
・製造業も
・ものづくりも
最終的には「モノ」や「成果物」として世の中に出ていきます。
そして、そのすべてに共通して必要なのがーー
「運ぶ」という行為です。
運ばなければ価値は生まれない
どれほど優れた技術も、
どれほど高性能な商品も、
どれほど巨額の投資をしても、
現場から現場へ、手から手へ運ばなければ、価値は実現しません。
研究所から工場へ。
工場から倉庫へ。
倉庫から消費地へ、
この当たり前の流れを支えているのが運送業です。
にもかかわらず、成長投資の議論の中で、物流・運送が主役として語られることはほとんどありません。
深夜割に対する現場の不安
私はこの点を踏まえ、講義の質疑で次のような意見を述べました。
成長投資分野の産業も、運ばなければ価値は生まれない。
そのためには運送業への支援も重要である。
国の支援は日々感じているが、新深夜割が始まることに現場は大きな不安を抱えている。
ぜひ、もっと現場を見てほしい。
残念ながら時間の都合で回答はいただけませんでしたが、
この「新深夜割」こそ、現場と政策の距離を象徴していると感じています。
「支援しているつもり」と「現場の実感」
国はこれまで
・価格転嫁対策
・適正運賃の議論
・働き方改革対応
など、運送業への支援を進めてきました。
この支援は今までと比べても非常に大きな後ろ盾となり、運送業の現場としてもとても評価されています。
しかし、
新深夜割によって
・走行時間の制約
・実質的なコスト
・運行計画の不安
が生じれば、国と運送業が進めてきた努力は一気に相殺されかねません。
政策の【意図】と現場の【結果】がズレてしまう典型例です。
本当に必要なのは「現場を前提にした政策」
成長投資を本気で成功させたいのであれば
・科学技術を支える人
・製造を担う人
・ものづくりを続ける人
だけでなく、
★それを運び続ける人の現実を、
政策の前提におく必要があります。
物流は裏方と言われますが私は「裏方」だとは思いません。
物流は価値を完成させる最後の工程です。
新深夜割についても「制度ありき」ではなく、
現場で何が起きるのかを起点にした再検討を強く望みます。
まとめ
今年も1年、運送業を取り巻く環境が少しずつ変わってきました。
来年は運送業の軸である「貨物自動車事業法」を取り巻く法律の改正も進みます。
運送業を取り巻く環境は2026年に大きく変わるはずです。
大手だけではなく、運送業を支える9割の中小企業で働く従業員が「働きやすい」と思える政策は今後も必要になってくるはずです。
そのためには現場からの声がとても大切。
これからも現場の声、現場で起こっていることをしっかり伝えていくことを諦めずに進んでいこうと思います。
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プロフィール

とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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