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配車女子 とら子の「一配一会」
日本の物流に“足りないインフラ” その正体は…
今日41才になったので大事なことを言います。
今、日本の物流に圧倒的に足りていないインフラがあります。
それはトラックステーションです。(誕生日関係あらへん)
閉鎖に追い込まれるトラステ
全盛期の1970年代後半~1980年代には全国で78か所(国直営+委託経営の合算)のトラックステーションがありました。
ですが、1990年代以降、高速道路のサービスエリアやコンビニの普及で赤字経営に陥り、多くのトラックステーションが閉鎖に追い込まれていきました。
2020年代の今、トラックステーションは全国に23か所ほどしか現存していません。
全盛期から比べてその数は約3分の1に減っています。
私が言わずしても「トラックステーションは増やすべき」なる議論は山ほどされています。
なのにどうして議論が進まないし増えないのか。
無料利用は正義ではない
全国各地のトラステは休憩のための駐車場利用、トイレ利用、休憩スペースの利用が無料です。
よくこういう施設系の議論でやり玉にあがるのが「マナーを守らないドライバー」による「ゴミのポイ捨て」「施設内での用足し」です。
トラステを増やそう!と考えて話し合いをしたとしてまず第一にこのモラル問題をどうするか、ということが予想されます。
トラステだけではなく、高速SAPA含め一部(マジで一部。全員じゃないのだけはわかってください)のドライバーによるゴミのポイ捨てやモラルのない行動が運送業全体への非難を強くしています。
運送業による運送業のための休憩施設であるトラステはこの問題とちゃんと向き合わないといけない。
ではどうするか。
私は無料利用を無くせばいいと思っています。
というか、今運賃交渉で私たちが行っていることと同じ。
「適正な対価を支払ってくださいね」
ということを運送業に向けてもやればいいんです。
適正な対価とは何か。
清掃員さんや常駐警備員を雇う、駐車場のアスファルトを整備する、修繕が必要な施設を直す、何より清潔で快適にドライバーが休める場所を作るための対価です。
無料利用が正義な時代は運送業の中から辞めていきませんか、という提案。
トラステの宿泊施設よりも駐車場でトラックで寝る方が断然いい、というドライバーさんだっていると思う。
だからこそ駐車場をキレイに保つための対価は必要。
有料利用のトラステを使った感想
日本国内では駐車スペースから有料のトラステはありませんが
EUには駐車場スペースから有料利用のトラステがあります。
下の写真はギリシャの高速道路上にあるトラステです。
Rest Area Aerinoという名前でEUのSSTPA(Safe and Secure Truck Parking Area=安全・安心なトラック駐車場)の1つです。
ごみばこの周りにもゴミは落ちてない
1時間は無料、1時間以降料金の支払いが必要。
清潔なトイレ
清潔なトイレ
この施設を利用した人たちのレビュー
SSTPAは既存のサービスエリアをEU独自の認証基準をクリアしているかどうかで加入が認められます。
この仕組みがとてもいいなと思ったのは「わざわざ新しい施設を作らずに認証基準を作る」ところです。
日本も土地や施設が少ないので真似できる部分が多いです。
既存の施設を「快適性、安全性、清潔性」の基準を設けて運営してもらうので施設使用料などは大きく変わりません。つまり、原価が変わらないので土地や施設が少ない日本では取り入れやすいやり方じゃないかと思います。
また、EU全体ではSSTPAを積極的に利用するような法改正も始まっています。
つまり、認証を取っていると国が利用者を優先的に誘導してくれる仕組みです。
利用したドライバーからもとても好評。
自費で支払っているのかどうかは定かではありませんが有料にすることで「清潔・快適・安全・安心」が担保されてる良い例だと思います。
国内のトラステをもっと有効に利用したい!
先日、彦根のトラステに行ってきたんです。
電車で。
近江なんちゃら線というローカル線を1本乗り継いで到着しました。
トラックステーションの中は思ってた以上にキレイでした。
食堂も美味しそうなメニューが沢山並んでいたし、コインランドリーもすごく沢山あってよかった!
トイレの照明がちょっと暗かったからここは女性でも安心して使えるような明るさだといいな。
私は怖かったから入れなかった笑
自販機がなかったり外のトイレが故障中のままだったけど、ゴミステーションはとてもきれいだった。
駐車場のアスファルトはやっぱり劣化してくぼみができていたりしてるので直せたらいいなって思う。
駐車場利用もしっかり対価を支払って施設の利用をもっと快適なものにできるし施設運営費も安定するからよいのではないか、というのが持論です。
Googleのクチコミを見ているとトラステだけど宿泊施設を利用しているのはトラックドライバーさんだけじゃなく、一般の方も結構利用されているようなので
一般の方も利用しやすい施設運営にすれば採算も取れるようになって閉鎖とはならないんじゃないかと思うんですよね。
トラステが充実すれば路駐問題の解決にもつながります。
そして宿泊施設が快適になることでドライバーさんが布団でしっかり休めることができます。
トラックステーションは全国に23か所。
もっともっと使いやすいようにアップデートしていっていきたいです!
まとめ
土地も施設も有限、と前述しましたが日本は面積も海外ほど大きくないので新しい施設を建てるなどかなり大掛かりな事業は運送業に対してやってくれないと思っています。
新しいトラックステーションを一から作るっていうのはあまり現実的ではないと思うんですね。
なので、既存のSAPAや道の駅、公営の宿泊施設にトラック協会主導で基準を設けてトラックステーションに加入してもらうことでその数は大きくできるのではないかと思うんです。
公営の宿泊施設、めっちゃオシャレな宿沢山あります。
びっくりしました。
福井なんてグランピングおしゃれホテルでした。普通に泊まりたいやん。
このように、色んな視点からトラックステーションを増やしていくことができると思っています。
固定概念にとらわれず、新しい発想でドライバーさんたちの安心できる休憩場所をしっかり確保していきたいです。
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プロフィール
とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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コメント
トラックステーションを有料化するのは、問題無いと思いますが、利用料金が手弁当になるのは、少し足踏みするところですね。
今日もコンビニで夜ご飯を買いましたが、お茶と弁当とサラダで1500円ほどの出費になりました。
これに、トラステの料金も➕になると考えると一ヶ月の出費が小遣いじゃ足らなくなりそうです。
そうなると、会社経費で補填してもらうか、手当てという名目での支給してもらうことになります。
実情、燃料の高騰に加えて物価上昇、賃金は上がらないのに、今後、高速代も実質的な値上げになります。
それらを踏まえて、果たして何処まで会社の体力が持つのかも不安視するところですね。
庸車をフルに使える企業様なら、自社で不足してる分を庸車に振って、その分、利益を出すことは可能かもしれませんが、庸車を使えない企業様には、とても重くなると思います。