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配車女子 とら子の「一配一会」運送業のM&Aブーム、その先に待ってる未来とは?
2025年9月9日 これからの運送業界
大手陸運9社の決算から見えるコト
2025年8月22日の業界紙に「大手陸運9社の2025年4月〜6月期決算」が発表されました。
データでもわかるようにこの9社は売上高がプラス。利益はマイナスとなった会社もありますが売上ベースで見ると増加した、と言う結果になりました。
現場で私が感じている「荷物がない」「暇や」と言う温度感と全く違う結果で非常にびっくりしたんですが、実はこの結果どうして生まれたのかもしっかり記事に書かれていました。
売上増には「適正運賃収受」と「M&A(合併・買収)」の効果が出ている、とのこと。
ほう。
適正運賃収受は素晴らしいと思う。
でもちょっと待て。M&Aで売上増、ってなんや。なんでや。唐揚げ最近食べてない!
と言うことで今回はM&Aで売上が増えたと言う件について書いていこうと思っています。
M&Aが加速する理由
運送業のM&Aはここ数年で飛躍的に伸びています。
大手のみならず、中小に至っても「M&Aどうですか!」と営業電話がかかってきます。毎日。連日。もうやめて。お腹すいたご飯。ってくらいかかってくる。
ヤマト運輸、佐川急便、日本通運、SBS、トナミ、ハマキョウレックス、フジトランスポートなど、大手から中堅まで枚挙にいとまがないほどM&Aは加速しています。
M&Aが進む理由は「自社の物流インフラ拡大」「自社領域の強化」「地域特化」などのビジネス直結型から「ドライバー不足の解消」「EC市場の拡大による業界の構造的変化(≒2024年問題)への対応」「後継者問題の解決」「債務整理」などの課題解決型まで様々です。
東京の長距離輸送の会社が中継地のために中京や関西、九州の会社を買収した、という話は聞いたことがあるのではないかと思います。
最近だと後継者がいないから買収してもらった、などもよく聞く話だと思います。
大手も中小も生き残るために必死な時代になっています。
そして大手企業はこのM&Aで買収した会社の売上をそっくりそのまま計上することができ、黒字で決算を迎えることができる。これが今回の背景だと思います。
ただ、このM&Aによる成長は限界に近づいているということも忘れてはいけません。
M&A後の先に必要なこと
企業買収が落ち着いて来たら次は成長させるステージが待っています。
そのためには何をしていかなければいけないのか。ここをしっかり考えていかないといけません。
1つ目。
「適正運賃を定着させる」
ブログを書き始めた7年前からずっと言っている「運賃」ですが、これは運送業の永遠の課題だと思っています。
6月に適正原価、というまたよくわからん単語で運賃が定義されましたがその適正運賃をしっかりもらえるように交渉をしていくことがめちゃくちゃ大事になります。
法的拘束力がつきましたので適正原価を下回わらない運賃が義務化されます。
次で詳しく書きますが、これから「安さ」を武器にビジネスを展開してきた運送会社や水屋は淘汰されます。まぁ、こういう会社は自ら自社および業界の首を絞めてきた悪しき企業の典型なので無くなっても問題ありません。
2つ目。
「自社のブランド化」
これは2025年以降、運送会社がマジで育てなあかんところになります。
今後荷主や元請けが運送会社を選ぶ基準を明確にしてきます。
先ほども書きましたがその基準に「安さ」という選択肢はありません。だからこそ、自分の会社の強みを作っておく必要があるのです。
ちなみにうちの会社は「人材」「専業性」「CS(顧客満足度)の高さ」を強みにしています。
自社しかできない業務をどんどん増やすことがブランド力を上げる近道になるので「こんな仕事できないかも」ではなく「やってみよう!」という思考で新しい仕事に挑戦していくと自然とブランド力はついてきます。
料金ではない自社の強みを武器にする。これがめちゃくちゃ大事になります。
現場はどう感じてる?
実は先日、Xでこんなアンケートを取ってみました。
こちらの回答の中をいくつかご紹介します。
・家に帰れる
・高速が卸地迄は下道ですが後は高速で帰りは全高で時間指定なし。給料は変わりませんが時間は大幅に縮まりました。
・自社パレット積みから先方パレットに 移し替え荷降ろし 入荷商品 トラックから構内も総出で 自社パレットに移し替え荷降ろし手伝い が なくなって パレ積みパレ降ろし
・最近コンビニ飯じゃなく タッパに入れた創作弁当にかわった運送業最高やんけ!
バラからパレットに変わったことや、労働時間が短くなって家に帰れるようになったことなど少しずつですが変化がみられるようになってきた、私の弁当が創作弁当に変わって最高じゃねえか!という回答をいただいた反面、
・何もないですね
・残念ながらなんも無いwwwww
・結局のところ見つかりません
など、変化はないと回答された方も多々いらっしゃいます。
現場の肌感では半々、いや、変わっていないが半数以上ではありますがすこーーーーーしずつ、マジで牛歩並みに変化の兆しが見えている方もいらっしゃるようです。
つまり、M&Aで業界が再編されたとしても
中で働く人たちから「変わったな!」「よくなった!」「働きやすくなった!」「給料上がった!」という声を聞けない限り、まだまだ運送業は変わらなければならない責任があるということです。
売り上げ増、黒字決算、利益増もよし。
だけど、本当に大切なことはその会社で働いている人たちがM&Aからの恩恵を受けて働けることだと思います。
今は「働き方が少しマシになった」段階で、ここからのステップとしては
①時間当たりの単価改善(賃金や運賃反映)
②効率化した分をドライバー、事業者の収益に還元する仕組み作り
を整えていくことが大切です。
この2点を整えていくことで「労力は減って収入も改善した」と実感できる未来につながるはず!
まとめ
運送業界のM&Aが加速し、業界全体が再編されていこうとしています。
大手運送会社にとっては売上が増える、中小運送会社にとっては後継者問題の解消などメリットも大きいものではありますが
吸収合併したから終わり、ではなく
その後、プラスに継続させていくことがすごく大事。
そのためにも
「適正運賃×自社ブランド力」の相互作用が必要になってきます。
適正運賃の定着は業界の課題でもありますし自社ブランド化は各社の課題であると思います。
大きな視点と身近な視点をもって業界の再編をプラスにしていきましょおおおおお!
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プロフィール

とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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コメント
中小問わず、ブランド化を目指すべきだと思います、並大抵ではありませんが努力してください。
がんばります!!