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配車女子 とら子の「一配一会」「会社が黒字なら問題ない」は本当? 運送業の更新制で考えてほしい「運送業単体の決算」
2026年8月30日
「会社が黒字なら問題ない」は本当? 運送業の更新制で考えてほしい「運送業単体の決算」
今日Xでも書きましたが
運送業界では現在、さまざまな制度改正が進んでいます。
その中で、今後「運送業の更新制」という仕組みを考えるのであれば、私は一つ大きな論点があると思っています。
それは、
「企業全体の決算を見るのか、それとも運送業単体の決算を見るのか」
という問題です。
これは、運賃競争を考えるうえでも非常に重要なポイントではないでしょうか。
運送業だけを営んでいる会社ばかりではない
そもそも、現在の運送業界には、運送業だけを営んでいる会社ばかりではありません。
倉庫業、通関業、製造業、販売業など、複数の事業を展開している企業はたくさんあります。
企業として複数の事業を持つこと自体は、もちろん悪いことではありません。
むしろ、事業を多角化することによって経営を安定させることは、企業経営として自然な戦略です。
問題は、その構造が運賃競争に影響する可能性があることです。
「倉庫で稼いで、運送は安く」という経営もできてしまう
例えば、倉庫業で安定した収益を確保している会社があるとします。
倉庫業で十分な利益が出ているのであれば、運送部門について、
「運送では大きな利益を出さなくてもいい」
という経営判断も可能になります。
極端に言えば、
「倉庫の仕事を確保するために、運送を安く受ける」
ということも考えられます。
もちろん、それ自体が違法だと言っているわけではありません。
企業がどの事業で利益を出すのかは、基本的には企業の経営判断です。
しかし、運送業だけで利益を確保しなければならない会社からすれば、これは非常に厳しい競争になります。
運送業だけで利益を出さなければならない会社は、価格競争で不利になる
運送業専業の会社を考えてみます。
トラックを購入し、維持費を払い、燃料費を負担し、ドライバーの人件費を払い、労災保険料や社会保険料を負担する。
当然、運賃からこれらのコストを回収し、さらに利益を残さなければ事業を継続できません。
ところが、
「他の事業で利益が出ているから、運送部門は利益が薄くてもいい」
という会社が同じ市場に存在すれば、運賃だけを比較した場合、専業会社は太刀打ちできないことがあります。
専業会社が、
「この運賃では赤字になる」
と判断して断った仕事を、
「この運賃でも受けられる」
という会社が取ってしまう。
こうして運賃相場が引き下げられていく可能性があります。
だからこそ「更新制」の基準が重要になる
もし今後、運送業に更新制のような仕組みを導入するのであれば、ここを考えてほしいと思っています。
例えば、企業全体の決算を見て、
「この会社は黒字だから経営上問題ない」
と判断するだけでは、本当に運送業の経営状況を把握したことになるのでしょうか。
企業全体では黒字でも、
・運送部門は赤字
・他事業の利益で運送部門の赤字を補填している
・運送部門では適正な運賃を収受できていない
というケースがあるかもしれません。
逆に、運送業単体では適正な利益を確保していても、他事業の不振によって企業全体では赤字になっている会社も考えられます。
この2社を「企業全体の決算」だけで判断してしまっていいのでしょうか。
見るべきなのは「会社」ではなく「運送事業」ではないか
私は、運送業の更新制を考えるのであれば、
「会社全体として黒字か」ではなく、「運送事業そのものが持続可能な経営になっているか」
を見る必要があると思います。
例えば、
① 運送業単体の収支
運送事業だけで、売上に対してどれだけの利益を確保できているのか。
② 適正な運賃を収受できているか
単純に利益が出ているかだけではなく、その利益が「適正な運賃を収受した結果」なのかを見る。
③ 他事業による補填が必要な状態になっていないか
倉庫業などの利益がなければ運送事業が成立しないのであれば、その実態を把握する。
こうした視点が必要なのではないでしょうか。
もちろん「赤字=悪」でもない
ここは誤解してほしくないところなんですが、
運送業単体で赤字だからといって、すぐに「悪い会社」「淘汰されるべき会社」と判断するべきだとも思いません。
設備投資をした年かもしれません。
一時的に車両購入が集中したのかもしれません。
ドライバー不足によって稼働率が落ちているのかもしれません。
さまざまな事情があります。
だから、更新制を作るのであれば、単純な「黒字・赤字」の二択にするのではなく、
「その会社が運送事業を持続可能な形で経営しているのか」
を見る制度にする必要があります。
「安い運賃で走れる会社」が本当に効率的とは限らない
ここも重要です。
運賃が安い会社を見ると、
「この会社は効率がいいんだ」
と思われるかもしれません。
しかし、実際には、
他事業の利益によって運送部門を支えているだけ
という可能性もあります。
そうであれば、それは純粋な運送事業としての生産性や効率性とは別の問題です。
運送業の適正化を考えるなら、
「いくらで運んでいるか」
だけを見るのではなく、
「なぜ、その運賃で運べるのか」
まで見なければ、本当の構造は見えてきません。
また、安全確保措置など施設や車両に投資をしていない場合もあるかもしれません。
安全を最優先に考えるべき運送業で最も投資をしない会社であれば持続可能な企業とは言えないのではないでしょうか。
更新制を「淘汰の制度」にしてはいけない
運送業の更新制について議論すると、
「運送会社を淘汰するための制度」
というイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、本来目指すべきなのはそこではないと思います。
大切なのは、
安全に運送を続けられる会社が、適正な運賃を収受し、適正な利益を確保しながら事業を継続できる環境をつくること。
そのためには、運送業界の経営実態を正しく把握する必要があります。
そして、その第一歩として、
企業全体の決算だけではなく、運送業単体の経営状況を見る。
この視点を、更新制の制度設計に入れてほしいと思います。
「会社は黒字」でも「運送業は赤字」という現実
運送業界の健全化を考えるなら、
「この会社は黒字です」
という数字だけでは足りません。
その黒字は、
どの事業から生まれているのか。
そして、
運送事業そのものは、適正な運賃によって成立しているのか。
ここまで見なければ、運送業界の本当の姿は見えてこないのではないでしょうか。
運送業の更新制を議論するのであれば、
「企業全体の決算で判断するのか」
それとも
「運送業単体の決算で判断するのか」
この違いについて、もっと議論されてもいいと思います。
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プロフィール

とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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